RADIUSサーバーは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)や公衆Wi-Fiプロバイダーが、ユーザー認証情報の管理、ポリシーの適用、利用データの収集に広く利用しています。企業やコーポレートネットワークでも、ユーザーのネットワークへのアクセスを認証・承認するためにRADIUSサーバーが使われています。
Remote Authentication Dial-In User Service(RADIUS)プロトコルは、ネットワークセキュリティの強化に不可欠です。RADIUSサーバーが提供するAAA(認証、承認、アカウンティング)の重要性は言うまでもありません。RADIUSサーバーは、Wi-Fi、VPN、アプリケーションなど、さまざまなサービスへのユーザーのアクセスを許可または拒否する認証プロトコルを使用します。
Grand View Researchによると、世界のサーバー市場規模は2020年に836億6,000万ドルと評価され、2021年から2028年にかけて年平均成長率(CAGR)7.8%で成長すると予測されています。クラウドコンピューティング、モバイルデバイス、5G、IoT、ネットワーク技術の普及拡大により、信頼性の高いRADIUSサーバーとテストツールの需要が高まっています。
世界の接続性が高まり、ネットワークが進化するなか、RADIUSサーバーのテストは不可欠になっています。そこで活躍するのが、RADIUSサーバーのテスト・監視ツールです。これらのソフトウェアにより、ネットワーク管理者やエンジニアはRADIUSサーバーの機能、性能、セキュリティを検証できます。
ネットワーク向けの無料RADIUSサーバー・テスト・監視ツールをお探しなら、2023年に利用できるおすすめのツールを以下に紹介します。
- NTRadPing:シンプルな認証・アカウンティングのシミュレーションリクエストに最適
- FreeRADIUSのradtest:シンプルなテストとデバッグに最適
- FreeRADIUSのradclient:高度なテストとスクリプト作成に最適
- Radlogin:シミュレーション、デバッグ、監視に最適
- RadPerf:性能測定と負荷テストに最適
- test access radius-server:自動テストとレポート作成に最適
主要RADIUSテスト・監視ツール比較表
以下の表では、各ツールの主な違い、強み、機能を比較しています。
| 料金 | OS | グラフィカルユーザーインターフェース(GUI) | パケットの送受信 | 応答時間の監視 | ユーザーエクスペリエンスの監視 | ディクショナリ | 複数ロケーションでのテスト | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| NTRadPing | 無料 | Windows | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ |
| radtest | 無料 | Linux、FreeBSD、Solaris | ✘ | ✔ | ✘ | ✘ | ✔ | ✘ |
| radclient | 無料 | Linux、FreeBSD、Solaris | ✘ | ✔ | ✔ | ✘ | ✔ | ✘ |
| Radlogin | 無料 | Windows、Linux、Solaris、FreeBSD | ✔ | ✔ | ✔ | ✘ | ✔ | ✔ |
| RadPerf | 無料 | Windows、macOS、Linux | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ |
| test access radius-server | 無料 | Windows、macOS、Linux | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✔ | ✘ |
ジャンプ:
NTRadPing
シンプルな認証・アカウンティングのシミュレーションリクエストに最適
NTRadPingは、無料のRADIUSクライアントプログラムです。NTRadPingは、RADIUSサーバーのインストール環境をテストするための、堅牢で使いやすいツールです。NTRadPingを使えば、シンプルな認証・アカウンティングのシミュレーションリクエストを実行できます。
このツールは、シンプルで無駄のない機能を備えているため人気があります。

料金
NTRadPingはWindows向けのフリーウェアユーティリティで、完全に無料で利用できます。
機能
- WindowsのGUI上でRADIUSパケットを送受信します。
- あらかじめ設定されたパケットタイプと属性を備え、カスタム項目も定義できます。
- 設定の保存・読み込みに加え、RADIUSファイルを使用できます。
- さまざまな2FA方式をテストできます。
長所
- 設定の検証に無料で簡単に使えます。
- さまざまな種類のRADIUSパケットと属性を送受信できます。
- 設定を保存・読み込みでき、RADIUSディクショナリファイル(必要に応じてベンダー固有の属性をカスタマイズできる、定義済みの付属ファイル)を使用できます。
- 操作に関する情報を簡潔にまとめたヘルプボタンを備えています。
- あらかじめ設定されたパケットタイプと属性を選択することも、独自にカスタマイズすることもできます。
- NTRadPingのGUI上で、サーバー、ユーザー、パケット、属性の詳細をすばやく入力できます。
短所
- Windowsプラットフォームでのみ利用できます。
- CHAP認証には対応していません。
- 性能テストや負荷テストの機能はありません。
FreeRADIUSのradtest
シンプルなテストとデバッグに最適
radtestは、オープンソースのFreeRADIUSプロジェクトに含まれる、無料のオープンソースLinuxコマンドラインプログラムです。FreeRADIUS組織は、インターネット上の全ユーザーの3分の1を認証しており、radtestは同組織が提供する最もシンプルなRADIUSサーバー・テスト・監視ツールです。
radtestは、使いやすく、必要な構文も最小限で済むため人気があります。RADIUSサーバーの設定をテストしたり、サーバーが稼働しているかを確認したりできます。
料金
radtestは、制限なく無料でダウンロードして利用できます。
機能
- コマンドラインからパケットを送受信します。
- さまざまな種類のRADIUS認証方式をテストします。
- RADIUSディクショナリファイルに対応しています。
- RADIUSサーバーからの応答コードと属性を表示します。
- 属性と値のペアの一覧は、コマンドライン引数に基づいて表示されます。
長所
- RADIUSサーバーをテストするための、高速でシンプルかつ便利な方法です。
短所
- グラフィカルユーザーインターフェースがありません。
- コマンドに関する技術知識が必要です。
- CHAP認証には対応していません。
- 性能テストや負荷テストの機能はありません。
FreeRADIUSのradclient
高度なテストとスクリプト作成に最適
Radclientは、パケットを送受信できるLinuxコマンドラインプログラムでもあります。radtestと同様、このツールもFreeRADIUSが開発したものですが、radtestとは異なり、RADIUSサーバー向けの包括的なテスト・監視ツールです。
radclientは、PAP、CHAP、MS-CHAP、EAPなど、さまざまなRADIUS認証方式をテストできます。また、RADIUSディクショナリファイルを使用し、RADIUSサーバーからの応答コードと属性を表示できます。
料金
- Radclientは無料のオープンソースソフトウェアです。
機能
- 任意のパケットをサーバーに送信し、応答を表示します。
- 設定変更をテストします。
- 標準入力またはコマンドラインで指定したファイルから、RADIUSの属性と値のペアを読み込みます。
- ディクショナリを使用して属性と値のペアをエンコードし、リモートサーバーに送信します。
- User-Password属性とCHAP-Password属性は、パケットがサーバーに送信される前に自動的に暗号化されます。
- RADIUSサーバーが稼働しているかを監視します。
- 認証、アカウンティング、ステータス情報を送信し、切断パケットも送信します。
長所
- Radclientは任意のRADIUSパケットをRADIUSサーバーに送信し、応答を表示できます。
- RADIUSサーバーが稼働しているかを監視できます。
- 認証、アカウンティング、ステータス情報、切断パケットを送信できます。
- コマンドラインで目的の属性を渡し、パケットの送信回数、再試行回数、パケット間の遅延、タイムアウト時間を指定することもできます。
- FreeRADIUSに付属するデフォルトのディクショナリを使用します。
- CHAP Access-Requestパケットを作成できます。
短所
- RADIUSサーバーにログインするには、管理者のユーザー名とパスワードが必要です。
- デバッグレベルを指定するオプションが限られています。
IEA Software, Inc.のRadlogin
シミュレーション、デバッグ、監視に最適
Radloginは、RadiusNTおよびRadiusXサーバーを開発したIEA Software, Inc.が開発した、包括的なRADIUSテスト・監視ツールです。このツールは、Windows、FreeBSD、Sparc Solaris、Linuxの各プラットフォームで動作します。
使いやすく、RADIUSおよびネットワークアクセスサーバー(NAS)のシミュレーション、デバッグ、監視ができるため、この市場で最も広く使われているソフトウェアの1つです。
他のFreeRADIUSサーバー・テストツールと同様、Radloginは基本的な認証、アカウンティング、切断リクエストを送信できますが、これまでに紹介した他のプログラムよりも高度な機能を備えています。
料金
Radloginは、制限なく無料でダウンロードして利用できます。
機能
- RFC 5176の切断メッセージとCoAメッセージに対応しています。
- テスト用の認証およびアカウンティングリクエストを送信します。
- ユーザー定義フィールド、組み込みカウンター、乱数変数、アドレス、セッションIDに対応しています。
- 80社以上をサポートする包括的なデータディクショナリを備えています。
- IPv6のトランスポートと属性に対応しています。
- 16ビットおよび32ビットのVSA形式、トンネル暗号化、大きな属性のフラグメンテーション、ネストされたTLV、拡張属性に対応しています。
- RADIUSパケットデコーダーを検証できます。
- メール通知と稼働時間統計に対応したサーバー監視が可能です。

長所
- コマンドライン、Webベースのインターフェース、WebサービスAPIからRADIUSクエリを送信できます。
- Radloginのディクショナリは70社以上のベンダーに対応しています。
- RADIUSパケットのデコードを検証します。
- ステータスと応答の詳細が表示され、後から参照できるよう保存されます。
- 制限なく無料でダウンロードして利用できます。
- 高度なRADIUSサーバー・テスト・監視ツールです。
- 数百台のRADIUSサーバーを監視し、稼働時間統計を維持できます。サーバーに接続できなくなった場合は、メールやSMSページャーで通知できます。
短所
- このツールを使用するには、高度な技術知識が必要です。
- Radloginのダウンロードに含まれる設定・ユーザー向けPDFマニュアルは、初心者には情報量が多すぎる場合があります。
NetworkRADIUSのRadPerf
性能測定と負荷テストに最適
RadPerfは、FreeRADIUSのコンサルティング会社であるNetworkRADIUSが無料で提供しています。RadPerfは、RADIUSサーバーが本番環境に対応できるかを確認するため、RADIUSサーバーの負荷テスト専用に設計されたコマンドベースのクライアントプログラムです。Windows、macOS、Linuxで動作します。
料金
RadPerfは、制限なく無料でダウンロードして利用できます。
機能
- 性能テスト用ユーティリティとして、さまざまなレートで認証およびアカウンティングパケットを送信できます。
- RadPerfは、ユーザーの行動、トラフィックの急増、長時間継続するユーザーセッションをシミュレートできます。
- RadPerfは、提供負荷と受け入れ負荷をまとめたレポートを作成できます。
長所
- RADIUSシステムが本番環境に対応できるかをテストできます。
- RADIUSサーバーに関する高度な技術スキルは必要ありません。
- CSVファイルに記載したユーザーとパスワードのリストを使用して、パケットを生成できます。
短所
- すべてのRADIUS属性や機能に対応しているとは限りません。
Juniper Networksのtest access radius-server
自動テストとレポート作成に最適
test access radius-server(RadiusTestとも呼ばれます)は、Juniper Networksが提供する無料のRADIUSクライアントユーティリティです。
test access radius-serverは、インストール不要のポータブルプログラムとしてWindows上で動作します。設定ファイルとGUIの両方から、すべての設定を入力できます。このツールのRADIUSサーバーディクショナリには、主要ベンダーの属性が登録されており、必要に応じてカスタマイズできます。
料金
test access radius-serverは、制限なく無料でダウンロードして利用できます。
機能
- RADIUSサーバーとクライアントのテストおよびデバッグができます。
- 認証リクエスト、アカウンティングパケット、応答など、さまざまなシナリオとメッセージをシミュレートします。
- 各パケットのステータスと経過時間を表示します。
- テスト全体の統計情報を一覧表示します。
- Detailsボタンを使うと、ステータス情報と送受信したパケットを確認できます。
長所
- 使いやすく、ユーザーフレンドリーなインターフェースを備えています。
- 無料のオープンソースソフトウェアです。
- RADIUSパケットの基本的な検証とエラーチェックを実行できます。
- 自動レポートを作成します。
短所
- 認証とアカウンティング(PAPおよびCHAP)用のパケット送信にしか対応していません。
RADIUSサーバーのテスト・監視ツールの主な機能
ほとんどのRADIUSサーバーには独自のテストツールが付属していますが、特に無料の代替ツールが複数ある場合は、選択肢を持っておくとよいでしょう。
RADIUSサーバーの設定とトラブルシューティングは、特に異なるクライアントデバイスやプロトコルを扱う場合、難しいことがあります。そのため、RADIUSサーバーのテスト・監視ツールは、最適な性能とセキュリティを確保したいネットワーク管理者にとって有用です。ここでは、これらのツールが備える主な機能を紹介します。
パケットの送受信
RADIUSサーバーのテスト・監視ツールの基本的な機能の1つが、RADIUSサーバーにパケットを送信して応答を受信する機能です。これにより、サーバーの初期設定をテストするとともに、設定に加えた変更を検証できます。ツールは、さまざまな属性と値を持つ認証、アカウンティング、ステータス、切断など、異なる種類のパケットを送信できます。
応答時間の測定
RADIUSサーバーのテスト・監視ツールは、サーバーの応答時間も測定できます。これにより、サーバーの性能と可用性を評価し、事前に定めたしきい値やサービスレベル合意(SLA)と比較できます。RADIUSテストツールは、サーバーがリクエストを処理して応答を返すまでの時間や、クライアントが応答を受信するまでの時間を測定できます。
ユーザーエクスペリエンスの監視
RADIUSサーバーのテスト・監視ツールのなかには、ネットワークアクセスにおけるユーザーエクスペリエンスも監視できるものがあります。これにより、VPN、ダイヤルアップ、無線、Ethernet接続を介してネットワークにアクセスする際、ユーザーが問題や遅延に直面していないかを確認できます。ツールは、リモートアクセスリクエスト、リクエストの完了、タイムアウト、無効な入力など、さまざまな指標を追跡できます。
ディクショナリのカスタマイズ
サーバーとの通信に使用する属性と値のディクショナリをカスタマイズできると便利です。ディクショナリは、各属性の意味と用途をパケット内でどのようにエンコードおよびデコードするかを定義します。ツールを使えば、別のファイルやデータベースにベンダー固有の属性を追加または変更し、さまざまな種類のサーバーをテスト・監視できます。
複数ロケーションでのテスト
最後に、一部のRADIUSサーバー・テスト・監視ツールは、複数ロケーションでのテストにも対応しています。この機能を使用すると、RADIUSテストツールは異なる場所や地域からパケットを送信し、さまざまなサーバーやネットワークをテスト・監視できます。テストの正確性と信頼性を確保するとともに、サーバーの性能や可用性、ユーザーエクスペリエンスに影響を与える地理的またはネットワーク関連の問題を特定するのに役立ちます。
自社に最適なRADIUSサーバー・テスト・監視ソフトウェアの選び方
RADIUSサーバーは、組織やネットワークプロバイダーにとって重要です。さまざまなネットワークリソースへのユーザー、従業員、顧客、パートナーのアクセスを管理するために使用されています。
しかし、RADIUSサーバーも障害やエラー、サイバー攻撃と無縁ではありません。RADIUSサーバーが停止したり侵害されたりすると、ネットワーク運用とセキュリティに深刻な支障をきたす可能性があります。そのため、RADIUSサーバーのテスト・監視ツールは、信頼性と安全性に優れたRADIUSネットワークを運用するうえで重要です。これらのツールを使用すれば、RADIUSインフラストラクチャに関する問題がビジネスクリティカルな業務に影響する前に、設定、管理、保守、検出、解決を行えます。では、自社に最適なRADIUSテストツールをどのように選べばよいのでしょうか。
最適なRADIUSサーバー・テスト・監視ソフトウェアを選ぶには、意思決定者が複数の要素を考慮する必要があります。たとえば、RADIUSインフラストラクチャの規模と複雑さ、監視シナリオに求めるカスタマイズ性と柔軟性などです。
さらに、使用しているOSや、必要となるサードパーティーソフトウェアとの互換性・統合など、基本的な点も検討することが重要です。これらは、どのツールが自社のアーキテクチャに適しているかを左右します。予算を考慮する必要がある一般的なソフトウェア選定とは異なり、今回紹介するツールは無料です。
これらのソリューションでは、ヘルプやサポートが非常に限られている場合があります。そのため、人気の高いツールについてオンラインで見つかるコミュニティや情報も、決定要因になるでしょう。また、意思決定者はIT部門、開発者、実際にツールを使用するチームとも連携することが重要です。これらのメンバーはソフトウェアに詳しく、知見や好みを持っている可能性があるためです。
方法論
このレビューは、RADIUSテストソフトウェアに関する筆者の個人的な経験、オープンソースリソース、ベンダーをもとにしています。さらに、公式ベンダーのWebサイト、ドキュメント、リソース、コミュニティフォーラムの情報も含めています。
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