複雑なシステムのパフォーマンスを把握することは、IT管理者にとって常に大きな課題でした。これまでは、システム管理者が、システムのパフォーマンスを改善し、高い水準に維持するために何をすべきか判断する前に、主要なパフォーマンス指標を把握するには、ソフトウェア利用者からのフィードバックを待つ必要がありました。
しかし、デジタルトランスフォーメーションによって、複雑なシステムインフラの監視と管理を自動化するために設計されたツールが登場しました。これらのツールは一般に、オブザーバビリティツールと呼ばれています。
オブザーバビリティを導入することで、組織はいつでもインフラ全体の内部状態をより正確に把握できるようになります。オブザーバビリティツールは、ITシステム環境に関するより正確なデータへのアクセスも提供します。適切なオブザーバビリティツールを選ぶには、主要なソリューションを評価する際に、自社固有のインフラ要件を考慮する必要があります。
2022年のオブザーバビリティツール・トップ製品
1. AppDynamics

AppDynamicsは、Ciscoが提供する最高評価のオブザーバビリティツールの1つです。このツールは、アプリケーションインフラのあらゆるレイヤーをリアルタイムで可視化し、ITチームがアプリケーションパフォーマンス低下の主な原因を把握できるようにします。
AppDynamicsは、インフラ要素を表示し、パフォーマンスと重要なビジネスデータを関連付け、アプリケーションコードのセキュリティ上の欠陥を発見することもできます。このプラットフォームは、企業の顧客と業務の相互作用を描き出せます。
さらに、AppDynamicsはビジネスパフォーマンスにとって最も重要な要素を優先順位付けするため、リアルタイムで対策を講じるのに役立ちます。このプラットフォームは、システムの主要なパフォーマンスとビジネス指標を深く結び付けるため、開発チームはビジネス全体に影響を及ぼす可能性のある重要な問題を解決し、ソフトウェア製品の収益性を高められます。
また、AppDynamicsにはプラグインや拡張機能を利用できる機能も備わっており、テレメトリーデータを迅速に収集し、中央システムまたはコントローラーに確実に送信するのに役立ちます。
2. Datadog

Datadogのオブザーバビリティツールには、500を超えるサードパーティー拡張機能と統合できる組み込みのサポート機能があります。DatadogのSaaSベースのインフラ監視は、メトリクス、インフォグラフィック、アラート機能を提供し、DevOpsチームによるクラウド環境やハイブリッド環境の最適化を支援します。Datadogを使えば、ユーザーはワンクリックでエラーを追跡・トラブルシューティングし、以前利用したインフラの履歴データを確認できます。
このオブザーバビリティプラットフォームは、広く利用されているテクノロジーを包括的にカバーし、保守をほとんど必要としない簡単なセットアップと直感的なインターフェースを備えることで、チームのコラボレーションとトラブルシューティングも強化します。
このプラットフォームはあらゆるスタックを完全にカバーし、ハイブリッド、オンプレミス、IoT、マルチクラウド環境に導入できます。ユーザーは、Kubernetesなどのサーバーレスプラットフォームやコンテナ向けに、ベンダーが提供する統合機能を利用できます。
3. Dynatrace

Dynatraceは、AIOpsを活用した包括的なインフラ監視を提供し、クラウド運用とDevSecOpsを簡素化・自動化します。Dynatraceは、複数のテクノロジーとシームレスに統合できる機能も備えています。
このサービスは、ネットワーク、モバイルアプリ、サーバーサイドサービス、その他のインフラを可観測化できます。このプラットフォームにはAI駆動の因果関係エンジンが搭載されており、根本原因を分析するとともに、ユーザーがアプリケーションをどの程度利用しているかを分析します。
さらに、Dynatraceはオープン標準に基づき、600を超えるサードパーティーテクノロジーをサポートしているため、API、SDK、プラグインを利用してプラットフォームに機能を追加できます。
このツールにより、DevOpsチームはより迅速にイノベーションを進め、SDLC全体の品質管理を自動化できます。また、システム管理者がパフォーマンスに影響を及ぼす前に問題を予測し、解決するのにも役立ちます。
4. Grafana Cloud

Grafanaは、人気の高いオープンソーステクノロジーを統合し、アプリケーションインフラを詳細に分析・対話的に可視化できるインテリジェントなオブザーバビリティプラットフォームを提供します。その結果、ユーザーはログ、メトリクス、相関データを簡単に切り替え、システムインフラの問題の根本原因を特定できます。
Grafanaは、迅速な結果を得るのに役立つ、拡張性の高いネイティブ統合機能も提供します。例えば、ユーザーは数回クリックするだけで、Postgres、MySQL、Memcache、Redisなどの主要なインフラ要素の監視を開始できます。事前構成済みのダッシュボードから選択して、重要なログやその他の洞察を収集することも可能です。
Grafanaのもう1つの利点は、時系列データベースのデータから意味のあるグラフや可視化を作成するツールを提供していることです。ユーザーは、Kubernetesクラスター、複数のクラウドサービス、Raspberry Piデバイス、Google Sheetsなど、多数のソースからテレメトリーデータを表示する中央インターフェースから、高度なダッシュボード群を構築することもできます。
5. Splunk

Splunkは、複数のカスタマイズオプションを備え、充実したセキュリティとフルスタックのオブザーバビリティを提供します。オンプレミス、ハイブリッド、マルチクラウドのいずれのインフラを運用している場合でも、Splunkにはシステムに問題が発生した際に通知する機能が備わっています。
Splunkのオブザーバビリティ機能は、DevOpsチームがデータサイロと監視における推測作業をなくすのに役立ちます。また、ユーザーが気付く前に、アプリケーションやインフラで起こり得る問題を予測できます。テクノロジースタック全体にわたる簡素化されたトラブルシューティングとエンドツーエンドの可視性も提供します。
Splunkは、マルチクラウド、ハイブリッドクラウド、エッジ環境を含む、テクノロジー環境全体のテレメトリーデータを提供できます。2,400を超えるSplunkbaseのアプリとアドオンに加え、組み込みのオーケストレーション機能と自動化機能をサポートしています。
6. Lightstep

Lightstepは、企業がモバイル、バックエンド、クラウドのインフラに関するリアルタイムの洞察を得られる統合オブザーバビリティプラットフォームです。数百万台のデバイス、ユーザー、クライアントが関わる大規模な運用のデータを集約し、効率的に分析できます。
このプラットフォームは、アプリ、インフラ、ユーザーエクスペリエンスの変化を自動的に検出し、その原因に関する情報を提供できます。さらに、システムエラーを解決するために必要な調査手順を構造化して表示するなど、高度なトラブルシューティング機能も備えています。
カバレッジの面では、Lightstepはシステムインフラ、ランタイム、その他のサードパーティーサービスを可視化します。さらに、幅広いフレームワークやプラットフォームと簡単に統合できます。
7. New Relic

New Relicのオブザーバビリティプラットフォームは、フルスタックのインフラおよびアプリケーション監視を提供する複数のテクノロジーで構成されています。
このオブザーバビリティプラットフォームがカバーするコンポーネントには、モバイル、ネットワーク、Kubernetes、ブラウザー、シンセティック監視などがあります。さらに、ログ管理、エラー監視、開発者のコラボレーション基盤を提供するCodeStream統合機能も備えています。
New Relicは、応用インテリジェンスも活用し、インシデントの根本原因に関する洞察を自動的に提供するとともに、470を超えるサードパーティーソリューションと接続します。その結果、IT管理者はサードパーティープラットフォームの統合を無事に完了できるかどうかをそれほど心配せずに済みます。
オブザーバビリティツールとは?
オブザーバビリティツールとは、アプリケーションの動作を分析・監視するためのシステム監視ツールです。オブザーバビリティツールは、アプリケーションの提供を支えるすべてのインフラが最適に稼働していることを確認し、システム全体で何が起きているかを把握するために使われます。
オブザーバビリティツールがなければ、帯域幅の使用量、メモリ使用量、HTTPリクエスト、システム内で発生するその他のイベントなど、コアシステムのパフォーマンス指標を理解・監視することが難しくなります。
オブザーバビリティツールの構成要素
すべてのオブザーバビリティツールがDevOpsエンジニアに提供すべき主な機能は、メトリクス、ログ、トレースの3つです。
メトリクス
オブザーバビリティツールは、時間の経過に沿って監視する一連のメトリクスを提供します。メトリクスには、主要業績評価指標(KPI)、CPU容量、メモリ、その他システムの健全性とパフォーマンスを評価する指標が含まれます。パフォーマンスが時間とともにどのように変化するかを理解することで、ITチームはユーザーエクスペリエンスを改善できます。
ログ
システムの何が問題なのかを判断する最も効果的な方法は、ログを調べることかもしれません。ログはシステム内のイベントを記録したものです。バイナリ形式またはプレーンテキスト形式で、タイムスタンプが付いています。テキストとメタデータを組み合わせた構造化ログもあり、通常はより簡単にクエリを実行できます。
トレース
オブザーバビリティツールには、ユーザーリクエストが完了するまで追跡するトレース機能があります。リクエストに応じて実行されたすべてのアクションが、トレースの一部として記録されます。複雑なシステムでは、1つのリクエストが複数のマイクロサービスを経由することがあるため、トレースは処理の障害箇所やシステムのボトルネックを特定するうえで重要です。
オブザーバビリティの主なメリットとは?
オブザーバビリティの実践は、IT管理者やDevOps開発者に多くのメリットをもたらします。オブザーバビリティの最大のメリットは、より効率的なワークフローと、徹底した可視性の2つです。
効率的なワークフロー
オブザーバビリティによって、開発者はシステムの進捗を開始から終了まで追跡できます。これらのツールにより、特定の問題に関する具体的なデータにアクセスできます。その結果、アプリケーションの分析とデバッグを迅速に行えるようになり、効率が向上します。
徹底した可視性
分散システムの規模が大きいため、ITチームは複数の重要な問いへの答えを判断するのに苦労することがよくあります。問いには次のようなものがあります。
- どのサービスが利用されているか
- アプリケーションのパフォーマンスは満足できる水準か
- 特定のサービスの所有者は誰か
- 直近のデプロイ前にシステムはどのような状態だったか
オブザーバビリティツールは、本番システムを広範囲にわたってリアルタイムで可視化するため、ITチームがこれらの問いに答え、関連する障害を回避するのに役立ちます。
最適なオブザーバビリティツールの選び方
適切なオブザーバビリティプラットフォームを選ぶ際に、すべての組織が考慮すべき重要な指針があります。
ユーザーエクスペリエンス
適切なオブザーバビリティツールは、管理と導入が容易であるべきです。重要な情報ができるだけ早く適切な関係者に届くよう、プラットフォームはアラートや通知を生成できなければなりません。さらに、直感的なユーザーインターフェースにより、ITチームの規模やスキルにかかわらず、プロセスの自動化を簡単に行えることも重要です。
テクニカルサポート
組織の開発者やエンジニアがオブザーバビリティツールの利用中に問題に遭遇しない保証はありません。そのため、容易に利用できるテクニカルサポートを最優先すべきです。
統合機能
オブザーバビリティプラットフォームの成否は、その統合能力に直結します。適切なソリューションは、組織が利用するさまざまなフレームワーク、プログラミング言語、ツールをサポートし、統合できなければなりません。